kazki//okadaの備忘録

kazki//okadaの個人的な見解やレビューなどを垂れ流します。

「別のしかたで ツイッター哲学」千葉雅也

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哲学博士千葉雅也さんの著作。千葉さんがTwitterに投稿したツイートをタイトルをつけ並べ直したもの。たわいのないようなツイートから、なるほどと思わせるツイート、しっかりとした内容のツイートまで様々なものが、読む側からすれば見えない法則にのっとって並べられている。新しいリズムに沿って並べられているようです。読んでいてひっかかりなく読めましたが、自分には法則性や統一のようなものを感じることは出来ずでした。最初の部分を読んで、こんな感じかー、と思う人も少なくないかとは思います。しかし、自分が強く主張したいのは、あとがきまで読むべきである、ということです。あとがきこそが本編、といってしまっては失礼ですが、それぐらい重要。あとがきを読まずして、この本を読んだとは言えません。あとがきにおいて、非意味的な有限性についての哲学を試みるもの、と書かれておりましたが、あとがきの前段、つまり本文は実践のようなものであり、あとがきを読んで初めて、そういうことか、となる人も多いのではないでしょうか?正直、ツイート群をみただけで、ああ、これは非意味的な有限性についての文章だ、などと思う人はいないのではないでしょうか?あとがきを読むことで、この本はそういうことだったのかと、自分はなりましたし、改めて本文を読んでみたいと思いました。述べられているのはものごとの輪郭について。輪郭の仮固定。輪郭を固定しすぎていることや輪郭への強い執着、それを意識するということを考えさせられました。この著作を血肉にすることはできてませんが、新しい目線を得ることができそうな、そんな気がしました。読んでいる途中はこんな感じかーとなってしまいましたが読み終わったとき、すごいなと、読んでよかったと本当に思いました。あと、新鮮な感覚も。あとは凝り固まった頭をほぐされた気分です。ありがたい。

別のしかたで:ツイッター哲学

別のしかたで:ツイッター哲学

「道徳の系譜」ニーチェ

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哲学者ニーチェによる思想書。名著「ツァラトゥストラはかく語りき」よりもニーチェの思想に触れやすいと感じました。ツァラトゥストラはかなり文学寄りな著作であり、ただ読んだだけではあまりニーチェの思想を掴むことはできませんでした。こちらは割と伝わりやすい形で書かれています。とはいえ、割と文学的だと思いますが。この著作において重要なワードを挙げるとすれば奴隷道徳でしょう。ルサンチマンに歪められた奴隷道徳は価値基準を外に求める卑しいものであるのではないかと思われます。価値基準を内部に求めることは可能かわかりませんが、無自覚に怨嗟に満ちた価値基準に縛られるよりは、身動きが取れないながらもそういったものに縛られている自覚を持つ方が前に進むチャンスがあるかと思われます。正義、善の名の下に、人を断罪し優越感や快楽を得る輩、己の無能さを棚に上げ前に進もうとする者の足を引く者、そういった有象無象にならぬ為にも奴隷道徳に縛られていないかは意識していたいところです。他人や世間や権威に価値判断を委ねている人にも一度考えてもらいたいです。また、権威や社会に迎合してたまるか、と強く闘争の姿勢をとっている方にも改めて自問してみてもらいたい。権威に反することは権威にのまれている現れの一つである可能性があることを。自分がいかなる立場をとるかは、賛成か反対かの選択という形ではなく、模索という形をとりたい所存。著作の内容とは関係ないことをだらだらと書いてしまいました。が、この著作がきっかけで考えたことなので、この本を読んでこんなことを考える人もいる、くらいに考えていただけたらと思います。拙文失礼いたしました。

道徳の系譜 (岩波文庫)

道徳の系譜 (岩波文庫)

  • 作者:ニーチェ
  • 発売日: 1964/10/01
  • メディア: 文庫

「SHIROBAKO 劇場版」水島努

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アニメ制作を題材にしたTVアニメ作品SHIROBAKOの劇場作品。アニメ制作の大変さと、それと引き換えに得られる感動を描いている。一応TVアニメシリーズを観てなくても楽しめる内容ではありますが続きの話なので、TVシリーズを観てない人にはいろいろわからない部分や伝わらない部分が多い。

作品を作る苦しみ、自分の音源制作と重ねて共感。とはいえ、自分の場合、金の話やコンプライアンスなど大人の事情的なものが全然絡んでないので、苦しみはかなり少ないと思われますが。そういうのがなくても誰かと何かを本気で作ることは苦しいし期限はあるし妥協せざるを得ない部分もでてくるし、やはり苦しい。それでもやるのは得られるものがある、ないとしても、アウトプットしたいものがあるからだと思う。やるからにはやり切ったほうが絶対いいなと改めて思わせてくれる作品。苦しみに負けて妥協すると、それまでの苦労が過ぎた時に輝くかわりに瘴気というかなんかもわーとした黒いものを放つようになる気がする。目の前の苦しみに負けず、踏ん張ってこそカタルシスがあるような気がします。今後忘れずにいたい。

余談ですが、家人がアニメ制作を生業としているのですが、現実は、この作品より苦しく、この作品ほどキラキラしてないそうです。それでも、やるってことは、やはりそこに何かあるんだなと改めて思いました。あと、作って楽しませてくれてるスタッフの皆様、本当にありがとうございます、と改めて思いました。

 

※劇場公開中。

「日本の農と食を学ぶ」農文協

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日本農業検定3級対応のテキスト。農業と食に関する常識的なことが書いてある。日本農業検定を受けるつもりなら安いので買って損はない。

私は農業技術検定を受けて見ようと思っていたのに誤って購入してしまった。購入したのでとりあえずすべて読んでみた。高校の授業のような内容。あまり面白くはなかった。初級というのもあるが。

日本の農と食を学ぶ 初級編: 「日本農業検定」3級対応

日本の農と食を学ぶ 初級編: 「日本農業検定」3級対応

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 全国農協観光協会
  • 発売日: 2018/04/10
  • メディア: 単行本

 

「ホロウナイト」team cherry

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オーストラリアのteam cherryが開発したインディーゲーム。ジャンルはメトロイドヴァニアと呼ばれる探索型2Dアクション。ジャケットの絵柄、トレイラー映像の美しさ、そして、安さに惹かれてダウンロード購入。傑作と名高い作品だったことを後で知る。

まず入り口となった絵柄の可愛さ。キャラクターのデザインも素晴らしいし背景もすごく美しい。音楽も暗いファンタジー映画のような素晴らしさ。曲も音も本当にしっかりとしたクオリティ。アンビエントっぽいものやネオクラシカルっぽいものなど本当に好みの音楽。世界観や登場人物たちもポップでダークな中二病魂をくすぐる。

マップも広く複雑で、難易度もそこそこ高い。そして、キャラクターの能力が上がっていくことや戦闘に使えるアイテムなどボリュームがすごい。メジャーのアクションゲームに負けないクオリティ。神ゲーと呼ばれるのもうなずける。

とりあえずラスボスを倒したのでこちらのブログで紹介したのですが、100%クリアは目指す気にならないくらいの高難易度。

個人的に得たものとしては、

・作り込まれた異世界を堪能することで自分が美しいと思うものをいろいろ見れた。

・探索する力を伸ばす。

アンビエントネオクラシカルな引き出しが増える。

・どのような状況で自分が焦るか、そして焦るとどのように状況が悪化するかを知る。

・焦るような状況で一番求められるのは冷静さであることを知る。

・ダークファンタジーが好きかもしれないという自分の好みを知る。

などが挙げられます。

 

やった人にしかわからない話ではありますが、ホーネットやフンコロ騎士の謎言語、すごく好き。

「Bodysong.」Johnny Greenwood

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Radioheadのギタリスト、Johnny Greenwoodのソロ音源。映画のサントラとして作られた作品。これがほんとに素晴らしい。Radioheadのテイストでありつつ、ネオクラシカルやエクスペリメンタルの雰囲気を色濃く纏った聴きやすくも深みがある名盤。インスト楽曲で曲によってはかなりニッチな楽曲もあるのですが全体を通しての聴きやすさがあります。Radiohead好きなら必聴です。特にKID A以降の雰囲気が好きであれば間違いない。ギタリストの音源が聴きたいというのであればおすすめはしませんが、ほんとに素晴らしい音源です。他の作品も聴いてみます。

「レヴィナス 何のために生きるか」小泉義之

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哲学者レヴィナスの思想の入門書的な本。レヴィナスに興味を持つきっかけになる。割と分かりやすくて入門にうってつけではないでしょうか。

以下、メモ。

 

倦怠、怠惰に陥った人間は実存そのものに疲れている。

 

無意味で目的もない生を生きなくてはいけないという契約を履行する人間こそ倦怠、怠惰に陥る。契約とは生存本能といってもよい。


生きていることは無条件で幸福である。

人間が生きるには世界のものを享受する必要がある。

人はパンだけで生きているのではない。パンも音楽も同じで享受することに優劣はない。


幸福追求は究極的目的かつ自己目的。


様々な短期目的は相互に無関係に自律している。


倫理は根拠や基礎付けが不要。


死を生成と消滅というカテゴリーで捉える。