kazki//okadaの備忘録

kazki//okadaの個人的な見解やレビューなどを垂れ流します。

哲学

「仏教の大意」鈴木大拙

日本の仏教学者、鈴木大拙の本。禅を中心に仏教のエッセンスが語られた本。入門書のような雰囲気もあるけど決してそうではない。いきなりこれを読んで理解できる人は多くはないと思う。 仏教、禅における非常に重要な部分が説明されているように思える。しか…

「シュタイナー入門」西平直

思想家ルドルフ・シュタイナーの思想に関する入門書。内容で著者も書いているように入門書の入門書という感じの内容。シュタイナーの思想の基礎を学ぶというよりは、入り口を知る感じ。どのような人か、どのような動きをしていたか、どのように捉えられてい…

「マイ仏教」みうらじゅん

みうらじゅん先生の仏教についての本。みうら先生らしい楽しくわかりやすくふざけているようで実はとても説得力のある内容。わたしが考える仏教のエッセンスと同じようなものを飽きることなく笑いながら得ることができる名著。誰でもわかる仏教みたいな本よ…

「思いやりという暴力」中島義道

これまた未公開の過去記事が出てきたので公開いたします。だいぶ前の記事になります。 以下本文です。 中島義道さんが日本における対話の欠如についてなど述べている本。 中島義道さんの著作は読むたびにいろいろな気付きをもらえる。 日本において言葉が軽…

「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」飲茶

格闘漫画バキの要素を取り入れた哲学の入門書の第二弾。今回は東洋思想を扱ったもの。前回同様、哲学者にバキ的なキャラ付けをしわかりやすく楽しく哲学を学べる素晴らしい著作。個人的には西洋編より驚きが大きかった。あまりの素晴らしさに。 本書は説明が…

「星の王子さま」サン=テグジュペリ

フランスの作家サン=テグジュペリの作品。児童文学という形ではあるがかなり深みのある内容。そして非常にそれが伝わりやすい。わかりやすく気付きを与えてくれる。権力、酒、数字、仕事、虚栄心、そのようなものの虚しさを教えてくれると共に、世界に残され…

「「死」とは何か」シェリー・ケーガン

まず先に言っておくべきことは、この日本語訳の著作が原書の縮小版であるということである。そのためか良くも悪くも入門書という性質を持っているように思える。原書は読んでいないので何とも言えないが、それを踏まえた上でレビューしていきたい。 まず全体…

「西田幾多郎-生きることと哲学」藤田正勝

日本の哲学者、西田幾多郎についての新書。西田の生涯、思想の背景、哲学について丁寧に書かれている。 まずはじめに西田がどのような人物でどのような生涯を送ったかが述べられる。 次に最初の著書「善の研究」を中心に、主客未分、純粋経験など初期の西田…

「無[Ⅲ]自然農法」福岡正信

自然農法家、福岡正信さんの無シリーズ3巻。この巻は福岡正信さんの自然農法について一番具体的に書かれている。 果樹園の作り方、野菜の輪作について、米麦不耕起連続栽培についてなど。作物ごとの細かい栽培法などが載っているわけではないが自然農園の始…

「幸福について―人生論 」ショーペンハウアー

哲学者ショーペンハウアーの幸福について論じた著作。 ものすごく雑にまとめれば、幸福には精神的なあり方が重要であり、所有や名誉などは揺らぎやすく際限のない虚なものである、ということである。つまり、外的要因ではなく内的要因こそ重要である、という…

「無[Ⅱ]無の哲学」福岡正信

自然農法家、福岡正信さんの書。福岡さんが哲学について論じたもの。ベースにある思想は無[Ⅰ]と同じものである。基本的な主張も同じものであるが、より哲学に踏み込んでいる。 この書から学ぶべきことは多い。その中でも一番感銘を受けたことは、先人の知恵…

「私が嫌いな10の人びと」中島義道

哲学博士中島義道さんのエッセイ。非常に読みやすく内容がしっかり伝わってくるのが素晴らしい。あげている10タイプの人びとは誰がどう考えてもぶん殴りたくなるようなクソ人間ではなく、一見善人だけど無自覚で思慮が浅く同調圧力をもって人を裁くような人…

「別のしかたで ツイッター哲学」千葉雅也

哲学博士千葉雅也さんの著作。千葉さんがTwitterに投稿したツイートをタイトルをつけ並べ直したもの。たわいのないようなツイートから、なるほどと思わせるツイート、しっかりとした内容のツイートまで様々なものが、読む側からすれば見えない法則にのっとっ…

「道徳の系譜」ニーチェ

哲学者ニーチェによる思想書。名著「ツァラトゥストラはかく語りき」よりもニーチェの思想に触れやすいと感じました。ツァラトゥストラはかなり文学寄りな著作であり、ただ読んだだけではあまりニーチェの思想を掴むことはできませんでした。こちらは割と伝…

「レヴィナス 何のために生きるか」小泉義之

哲学者レヴィナスの思想の入門書的な本。レヴィナスに興味を持つきっかけになる。割と分かりやすくて入門にうってつけではないでしょうか。 以下、メモ。 倦怠、怠惰に陥った人間は実存そのものに疲れている。 無意味で目的もない生を生きなくてはいけないと…

「自由の哲学」ルドルフ・シュタイナー

ルドルフ・シュタイナーの自由についての書。やはり難しい。自由意志の問題、一元論の問題、思考や知覚の問題。シュタイナーを読むには哲学をある程度知ってなくてはいけないと感じた。素朴実在論→観念論→その先、という流れがあるとしたら、自分はその先を…

「無[Ⅰ] 神の革命」福岡正信

自然農法家、福岡正信さんの思想書。農家の著作と思われるかと思うがしっかりとした思想家の著作である。 主張されていることを大きくまとめると、 ・無知の自覚(人知の否定) ・分別及び価値判断の否定 ・不可逆的文明の否定 である。 中でも分別及び価値判…

「死後はどうなるの?」アルボムッレ・スマナサーラ

スリランカ上座仏教長老の一般民衆向けの講演のような本。死後の話、というより仏教の話。テーマも死後に限られてはいない。これがかなりわかりやすい。なおかつ内容もしっかりしている。 一番重要なポイントとしては、無常を悟り、輪廻転生は苦しみに満ちて…

「生きるのも死ぬのもイヤなきみへ」中島義道

哲学者、中島義道さんの対話形式の本。これほどまでに「自分の死」について迫った本があるでしょうか。自分が子供の頃から抱いてきた、どうせ死んでしまうのに生きるのは虚しい、という大問題に目を背けることなく向き合っている。また、自分だけでなく人間…

「道元とシュタイナー」塚田幸三

曹洞宗の開祖道元と神秘主義の学者ルドルフ・シュタイナーの思想について述べた本。道元とシュタイナーの思想を大まかに確認しつつ比較し、その共通点をみることで道元とシュタイナーをより深く理解できるというもの。 内容はかなりアカデミックなもので、何…

「現代の哲学」木田元

現代の哲学、とはいっても初刷が1991年なのでかなり前の著作。ハイデガー、メルロ=ポンティ、フロイトとかそのあたりを大まかに解説している。人間存在、身体問題、言語と社会、構造主義、現象学、そのあたりが扱っている内容。 読んだ感想としては、自分は…

「歎異抄を読む」早島鏡正

浄土真宗の開祖、親鸞の思想を弟子である唯円が著した書「歎異抄」の解説書。原文も載っているのでありがたい。 この本を読み、これまで抱いていた浄土真宗の印象が変わった。これまでは、どんな人でも救ってもらえる、それに対して感謝の念仏を唱える宗派、…

「無むムと感じる!西田幾多郎」大澤正人

for beginnersシリーズと題された西田幾多郎の思想の概説書。大まかに西田幾多郎の思想がまとめられている。のだが!難解!西田幾多郎の思想が難解であるがゆえ解説すらよく理解できない、少なくとも私の頭脳では!ダメ学生ながらも大学大学院において西田幾…

「エゴイスト入門」中島義道

哲学者中島義道先生のエッセイ。このエッセイも中島さんらしさがしっかりでている。こちらは一つのテーマについて書かれた著作というよりは哲学にも触れるエッセイという感じです。何本かしっかり哲学的な内容のものもありますが基本的にはエッセイ。ただ何…

「死にカタログ」寄藤文平

死についてわかりやすくポップにまとめた本。イラストや図が多く非常に読みやすい。はじめ数ページ、著者は死の本質に迫ろうとするも、その重さ、深さにのまれ失敗。その結果、いろいろな死のデータや考え方を集めてまとめて提示する、という方法に切り替え…

「永遠平和のために」カント

ドイツの哲学者カントの著作。これをもとに国際連合が作られたというもの。人間は自然状態においては邪悪で戦争をするものだからルールによって矯正すべき、で、そのルールについての著作。非常に理知的で説得力のある文章であったが個人的にあまり興味が持…

「方法序説」デカルト

フランスの哲学者、デカルトの著作。我思うゆえに我あり、の文言が有名。この著作は思考の結果ではなく思考の経路を学ぶための名著。どういう考えに至ったかではなくどういう風に考えるかの参考になる。そして、これはただの哲学書ではなくノンフィクション…

「絶望名人カフカの人生論」フランツ・カフカ 頭木弘樹編訳

「変身」で有名なフランツ・カフカの日記や手紙の言葉を紹介し解説する本。人生論というよりは名言集といった内容。哲学的な人生論を期待すると肩透かしを食らうかもしれません。哲学的な内容ではありませんが紹介されている言葉は価値があるものです。ノン…

「臨済録」慧然 (入矢義高訳注)

臨済宗の祖、臨済の言葉や行いを弟子の慧然が書き記したとされる書。非常に難解。衆示の項目はなんとなくわかることもあるが、だいたいがよくわからんなーとなる。しかも、笑ってしまうような話が多い。教科書等で持っていた印象と違い臨済はかなり荒々しい…

「哲学入門」三木清

西田幾多郎の流れを汲む哲学者、三木清の著作。一般の哲学に興味がある人が入門書として読むには適さない。哲学といえど学問である以上、基礎知識や訓練が必要である、という著者の考えが出ている。このタイトルは現代の日本においては哲学を難解なものとし…