熊倉献さんの短編集。めちゃくちゃおもしろかったわけではないのだけど、久しぶりに自分の中に深く入ってくる作品だった。本当に不思議。名作!という感想ではなく、ああ、自分にとって世界ってこんな感じかも、自分の求めてるものってこんな感じかもってじわじわ入ってくる感じ。みんなそう思ってるならこの作品はものすごい作品だってことになる。日常に覆い隠されている頽廃的な世界の実情、みたいな。うまく表現できないけど世の中はゲロ吐きそうなほどクソみたいな仕組みで成り立っててなおかつ美しい、みたいな感じです。鬱屈して酩酊して見上げた空、みたいな漫画。何がどうってわけじゃないし、なんかやり場のないイライラがわいてくる感じあるけど自分にとってかなり特別な作品なんだと思いました。みんなそう思ってるならこの作品、この漫画家さん、本当に凄い。みんな、そう思ってないなら、自分にとってこの漫画家さん、凄い、とはいえます。よくわからないけどじわじわ入ってくるし、本当は忘れてはいけない姿勢を思い出させてくれる。定期的に読んだ方がいい作品です。
蛇足ですが、時が進みすぎて荒野になった森のベンチのコマ。全て破壊された風景が好きだったことを思い出させてくれた。
- 作者: 熊倉献
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/01/23
- メディア: コミック
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