kazki//okadaの備忘録

kazki//okadaの個人的な見解やレビューなどを垂れ流します。

「生きるのも死ぬのもイヤなきみへ」中島義道

f:id:kazki_okada:20191201164606j:image

哲学者、中島義道さんの対話形式の本。これほどまでに「自分の死」について迫った本があるでしょうか。自分が子供の頃から抱いてきた、どうせ死んでしまうのに生きるのは虚しい、という大問題に目を背けることなく向き合っている。また、自分だけでなく人間そのものも全て死んでしまい人類が築いてきたすべてのものも消滅してしまうという事実も誤魔化すことなく言葉にしている。結論からいえば、この問題は解決できる問題ではないのですが深く考えれば、それを揺るがすことくらいはできるという希望がこの本にはあります。死から目を背けない、誤魔化さないことの重要性を改めて感じさせてくれます。あとは、時間、存在などついてしっかりと考えることで、死の問題に多少は近づくことができるのかもしれないということも改めて感じることができました。そのために今までたくさんの人が紡いできた知識をしっかりと吸収しなくてはいけないなと。哲学の入り口としてこれ以上の書はないかもしれないといっていいくらい根本的な問題を扱っています。人生や死に興味がない人にこそ読んでもらいたいし、自分もこのような形で作品を世に送り出したいなと強く思いました。

生きるのも死ぬのもイヤなきみへ (角川文庫)

生きるのも死ぬのもイヤなきみへ (角川文庫)