kazki//okadaの備忘録

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「道徳の系譜」ニーチェ

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哲学者ニーチェによる思想書。名著「ツァラトゥストラはかく語りき」よりもニーチェの思想に触れやすいと感じました。ツァラトゥストラはかなり文学寄りな著作であり、ただ読んだだけではあまりニーチェの思想を掴むことはできませんでした。こちらは割と伝わりやすい形で書かれています。とはいえ、割と文学的だと思いますが。この著作において重要なワードを挙げるとすれば奴隷道徳でしょう。ルサンチマンに歪められた奴隷道徳は価値基準を外に求める卑しいものであるのではないかと思われます。価値基準を内部に求めることは可能かわかりませんが、無自覚に怨嗟に満ちた価値基準に縛られるよりは、身動きが取れないながらもそういったものに縛られている自覚を持つ方が前に進むチャンスがあるかと思われます。正義、善の名の下に、人を断罪し優越感や快楽を得る輩、己の無能さを棚に上げ前に進もうとする者の足を引く者、そういった有象無象にならぬ為にも奴隷道徳に縛られていないかは意識していたいところです。他人や世間や権威に価値判断を委ねている人にも一度考えてもらいたいです。また、権威や社会に迎合してたまるか、と強く闘争の姿勢をとっている方にも改めて自問してみてもらいたい。権威に反することは権威にのまれている現れの一つである可能性があることを。自分がいかなる立場をとるかは、賛成か反対かの選択という形ではなく、模索という形をとりたい所存。著作の内容とは関係ないことをだらだらと書いてしまいました。が、この著作がきっかけで考えたことなので、この本を読んでこんなことを考える人もいる、くらいに考えていただけたらと思います。拙文失礼いたしました。

道徳の系譜 (岩波文庫)

道徳の系譜 (岩波文庫)

  • 作者:ニーチェ
  • 発売日: 1964/10/01
  • メディア: 文庫