施肥の基本を教えてくれる著作。施肥についての基本的な考え方から作物ごとの具体的な施肥方法まで載っている。施肥に困ったらこれを読むとよい。
以下、メモ。
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1.育て方について
葉の良し悪し
見分け方の図が載っている。
窒素過多は軟弱徒長を引き起こす。日当りが悪いと窒素過多になりがち。日当たりが良ければ窒素が多くても害は少ないが日当りが悪いと窒素過多となる。軟弱徒長は病害に弱い。傷も治らない。
生育の障害型、健全型、徒長型を葉の状態でみる。障害型は活動葉が少ない。徒長型は活動葉と伸長葉と老化葉が同じくらい。健全型は活動葉が多く老化葉が少ない。
生育初期に体質が決まる。初期とは播種、定植後30日くらい。
30日後の違い
わかりやすい図示あり。
窒素が少ないと根優先に、多いと地上優先になる。根優先はリンサン優先。カイワレ葉、第一子葉がリンサン優先の生育に強く影響する。発芽後の根くばせに肥料は悪影響。発芽段階では窒素は少ないほうがいい。
2.肥料の使い方
長年肥料を使っていると不健康な肥満畑になる。
悪い畑の4タイプには酸性型、石灰多用型、リンサン過剰型、厩肥多用型。
酸性型
リンサン、窒素が効きにくく、肥効が不安定。窒素優先生育。
石灰多用型
白くなるほど石灰を撒くと肥効が不安定。よって窒素多用になり窒素優先生育に。
リンサン過剰型
生育不良が多い。
厩肥多用型
窒素過剰の徒長型生育になる。
いい畑はリンサン優先生育の畑。
微生物が多い
有機物が多い→植物性
根がよく拡がっている
腐植土がいい。
肥料のやり方
種の力に頼り、元肥はなし。新根が出始めてから肥料が効くのがいい。生育に従って肥料を増やす。
全面表層施肥は窒素優先になりやすいし肥料障害も起こしやすい。肥料切れもしやすい。無駄も多い。土壌にも悪い。
根がはる範囲に沿って施す溝施肥がいい。
施肥は堆肥と混ぜて施すのがいい。堆肥はワラや落葉などの堆肥。
堆肥は過石と混ぜて使うといい。混ぜるのが手間であれば、堆肥溝施肥の上に過石をふり覆土する。
ぼかしと敷き草
ボカシは播種床や定植時にいい。ボカシの有機物はイネ科の雑草や落葉など腐熟したものがいい。
敷き草は微生物繁殖、根の保護にいい。
塩安、硝安など即効性肥料がいい。畝間に浅く溝施肥し覆土。リンサン追肥はリンサン優先生育でなければよくない。リンサン追肥は株の葉先20cm穴を開けて落とす。
窒素肥料
肥料濃度を高くしない。
アンモニアをやりすぎると硝酸に変わり肥料濃度を高める。
リンサン肥料
水溶性のものが良い。過石がいい。熔リンや重焼リンは問題が多い。
硫黄分
硫安などにはいってる。過剰施肥はさける。
カリ肥料
ほうれん草やアブラナ科はカリ不足で収量減。やりすぎ注意。
石灰はph調整のためのものだがやりすぎはよくない。心腐れや尻腐れの原因となる。苦土も使いすぎ気をつける。微量要素欠乏はphが高くなりすぎるとでる。微量要素肥料は不要。
肥料不足について
窒素不足ー葉色が薄く小さい
リンサン不足ー葉の光沢なく暗緑色
カリ不足ー先端の葉が萎縮、下葉が黄化し縁が焼けたように枯れる
カルシウム不足ー成長点付近が黄白色、次第に褐色に
マグネシウム不足ー下葉のふちが黄化
ホウソ不足ー新芽の枯死、心腐れ
マルチがあると肥料が効きやすく窒素優先になりやすい。肥料は控えめに。
あとは、各種施肥のタイミングなど具体的内容。
- 発売日: 1983/03/01
- メディア: 単行本