kazki//okadaの備忘録

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「明智光秀放浪記」重野なおき

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信長の忍びの著者、重野なおきさんのスピンオフ的な作品。全1巻。本能寺の変織田信長を討った明智光秀の青年期から信長に仕えるまでを描いた作品。史実に基づいたストーリー。かわいい絵柄でギャグテイストが強い4コマ形式。そのかわいさ、ポップさが余計に戦国時代を生きた人々の壮絶な人生を引き立たせる。紙上のかわいいキャラクターたちに迫りくる恐ろしい運命を思うと目頭が熱くなる。凄惨な時代を生き抜く人々の人生を活字とは違った形で感じることができる。個人的に明智光秀という武将は昔から好きなので余計に切なくなる。知能が高く、心優しく、そして報われない明智光秀というイメージに更に小さなエピソードから人間的なものを感じギャグ漫画なのに本当に胸が熱くなる。楽しく明るいやりとりをしていたキャラクターが討死する場面の描き方がすごいと思う。最近の凄惨さを前面に押し出した漫画の所謂トラウマシーンみたいなものよりよほど凄惨さを感じる。グロとかじゃなく人生の恐ろしさというか。そして、鬼気迫るものを感じる。それは重野さんの技術でもあるかもしれないけど散っていった武将たちの力もあるかもしれない。

明智光秀からは学ぶことが多い。苦労人、頭脳明晰、人格者であるというイメージの光秀。才能を発揮し、出世していくも日本史の中でも一番有名な謀反人となってしまうという結末。三日天下と言われるほどの悲しい結末。光秀の選択というより運命に飲み込まれたという印象を持たざるを得ない。そのようなうねりに飲まれることもあるだろうが、それに対するもがきも既に予定されたものの一つになっていることもあるだろうが、自分も今自分が置かれた環境で最善を尽くして生きていきたい。それもすでに決められた選択なのかもしれないけど、それを恨まず努力を続けたい。です。