kazki//okadaの備忘録

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「酔うと化け物になる父がつらい」菊池真理子

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随分前に買ったエッセイ漫画。引っ越しの際に出てきて再度読み直し。作者の人生を描いた作品。アルコールによって周囲の人々を破滅に追い込む物語と思えるがそれだけではない。問題の根底はさらに深いところにあると感じさせる。人の弱さ、無責任さ、そして自らを苛む責任感、そういったものが絡み合って長い年月に渡り人を苦しめ続ける。それがアルコールに象徴されているのかもしれない。アルコール依存は問題だと思う。それに対する医療行為の発展は求められるものである。それと同時に過剰にアルコールを摂取したくなるような世界もまた問題である。むしろ根源はそこにあると自分は思う。酔って周囲を不幸にする人間を擁護するつもりはない。ただその個人に全てを負わせるのも問題の本質を見ていない気がする。飲まなくても酔わなくても楽しいし充実した生き方ができる世の中になるのが一番望ましい。理想論だし甘い考えではあるが。そのために自分ができることは何か。自分が理想とする形を実践し、それを発信していくことができることだと思う。押し付けではなく、これ楽しいよ、と言えるような。誰もが恵まれた環境にいるわけではないので何も押し付けることはできない。なるべく誰でもできる形で自分の理想を実践して発信していきたい。自分は音楽と表現を使ってそれをやりたい。

話が離れてしまったので作品についてに戻したい。この作品も苦しんでいる人や何も知らなかった人に気づきを与えるという意味においても大変重要な作品だと思われる。こちらから何もできることはないけど作者の菊池さんに素晴らしい作品を生み出してくれたことに心から感謝したい。

これを書く時に数日後、映画化するということを知った。ただのエンターテイメントになっていないことを心から願う。

酔うと化け物になる父がつらい

酔うと化け物になる父がつらい