「マイ仏教」みうらじゅん
みうらじゅん先生の仏教についての本。みうら先生らしい楽しくわかりやすくふざけているようで実はとても説得力のある内容。わたしが考える仏教のエッセンスと同じようなものを飽きることなく笑いながら得ることができる名著。誰でもわかる仏教みたいな本よりこちらを読んだ方が仏教のありがたみがわかる気がする。ダジャレのようだけど実践する意味がある僕滅運動など様々な人生のヒントがたくさん。多くの人に読んで実践してみてもらいたい。
「御池塘自治」帯化
日本の二人組オルタナティブロックバンド帯化の3rdアルバム。オルタナティブロックバンドといっていいものか、この音源はトライバルロックというか、そのような言葉が合うような気がする。ギターのサウンドはめちゃくちゃかっこいいオルタナ感がつよい音色。少しSt. Vincentを彷彿させるファズ感。リズムは日本?というかアジアの民族楽器のようなもの。うたの旋律も日本?の民謡のようなもの。これぞ日本のロックの形だ!と言いたくなる素晴らしい音源。現代に馴染んだサウンドを使いながらも西洋音楽をベースとした今のあり方とは一線を画した素晴らしきかっこよさ。アンビエントのソロで自分がやろうとしていたことに近いけど更に大きく上をいく作品で悔しさも感じるほどだった。他の音源も全て聴いた上で、日本にはこんなにかっこいいバンドがいるぞというのを多くの人に知ってもらいたいなと強く思った。
「Berlin Baritone」Kurt Rosenwinkel
ニューヨークのジャズギタリスト、カートローゼンウィンケルの音源。シンプルなソロギターだけどおそらくバリトンギターで演奏されている。シンプルでいいメロディーの素敵なソロギター。強い音がないのでリラックスできる。そして音が心地よく太いのでそれが甘さや柔らかさを生んでいる。とても素晴らしい音源。カートローゼンウィンケルの作品だとリフレクションというトリオの音源がすごく好きだったのだけど、こちらも似た雰囲気を持っている。シンプルにいい音、いいプレイ。新しめのアルバムは独自性のあるアタックのない音が印象的だったように思えるけどあまり好みではなかった。こちらはシンプルにいいなとなれる。リフレクション同様、夜にゆっくり聴きたくなるいい音源です。
MRI検査/医療用機器
※画像なし
音源ではありませんが、すごい音だったのでレビュー。医療用のMRI検査の機械です。
一定のリズムを奏でる音、いろいろなピッチのいろいろな音色のドローン音、全身に感じる音の振動、それぞれの組み合わせ、タイミングや切り替わりも秀逸であっという間の30分でした。素晴らしいインダストリアルミュージック。工業系の仕事をした時にも感じたけど、必要な動きをしている音はもしかしたら自然でかっこいいのかもしれない。同じような雰囲気を作ろうとするとどうもわざとらしくなったり物足りなかったり。そういう音楽を作るときは機械に動いてもらって人間が微調整するのがいいのかも。心地よい音は人間の手を離れた方がいい場合が多々ある気がする。
なんとなくそう感じたのでとりあえずメモ程度に備忘録として残しておく。
「Niandra LaDes and Usually Just a T-Shirt」John Frusciante
レッドホットチリペッパーズのギタリストJohn Fruscianteのソロ音源。アコギ、エレキギターなどを中心とした演奏と歌の音源でバンド演奏などではない。これが非常に素晴らしい。独自の癖のある音色で奏でられるフレーズの数々が秀逸すぎる。そして歌もとてもいい。メロディもすごくいいし歌い方もいい意味でシンガーっぽくなくていい。荒々しい歌い方ではあるけどわざとらしさがなく、作られた個性や荒々しさを出そうとしたものではない気持ちよさを感じる。実際のところは知らないけど全然構わない。聴き手としてはそう感じられるだけで評価できる。今も聴きながら書いているけどアコギもエレキギターも演奏が素晴らしい。上手いとか難しいフレーズとか正確な演奏とかじゃなくて、フレーズがとてもよく、音色がとてもよく、演奏がそれとマッチしている。個人的に自分が全く持っていない、そして、必要なものが詰まってる気がするのでコピーしたいなと本気で思った。
比較するものではないけど個人的にはレッチリよりソロ音源の方が好みでした。レッチリもすごいしかっこいいけど雰囲気がこちらの方が好み。他のソロ音源ちゃんと聴いたことないので聴いてみたい。
「映画大好きポンポさん」平尾隆之
映画監督、クリエイターを主役に据えたアニメ映画。花粉症のせいで鼻水と涙が出た。クリエイターにフォーカスを当てるという点でSHIROBAKOなどと同ジャンルと言えるけどもっとシンプルでもっとエゴが強い感じ。その分エモに訴えかける部分が強かった。ディティールはSHIROBAKOの方が強いけど、そこを補うエモがあった。共感というか、ちゃんと意識しなきゃいけないことを思い返すことができた。
テーマの一つとして覚悟を持った取捨選択が描かれていた。個人的に鋼の錬金術師を見て、取捨選択だけじゃなくて両方取りに行く美学みたいなのに感動した経験があるけど、根本にある覚悟を持った取捨選択、現実的かつ美しいと改めて感じさせられた。盛り上がりどころや諸々のメッセージもわかりやすい形で浮き出ていて、押し付け感がないわけではないけど、そこが逆に良さと感じるくらい一点突破、感情に訴えかけるものがあった。かっこつけず、いろいろあるのわかるけどこれでいくよ、というような覚悟の感じ。突破できなければ薄く捉えられるけど、ぶち抜いたら全肯定に転じるような、その覚悟の感じ。自分は見事にやられました。花譜さんの曲の入り、どやぁ、という感じあるかもしれないけど、それも全て飲み込んで、最高だぜぇー!!となれるくらい飲まれた。いろいろぶっ飛ばして最高じゃん、となれる仕組み、というかエモーション、パッション。綿密に計算されてるだろうけど最後はゴリ押しというかその一点に賭ける感じがすごく好きだった。どんなに否定的な意見があったとしても、自分は音源のミックス、マスタリング中、MVの撮影編集前にこの作品見れてよかったと思った。ほんとにがんばろーと思えた。こちらは納期がないし、売り上げや利益を考える必要がないのでより自分が納得できるものを全力で作りたいと思った。
「100日間生きたワニ」ふくだみゆき/上田慎一郎
きくちゆうきさんのTwitter漫画「100日後に死ぬワニ」のまとめと後日談を映画にしたもの。Twitterでリアルタイムでやっていた当時、Twitterを使ったリアルタイム感とカウントダウンの緊張感、何気ない日常とカウントダウンの数字のギャップ、本当の意味での無常感(何か特別なことがあって日常というのは奪われる、とかじゃなく本当に生きるという日常がそもそも無常であること)などいろいろ素晴らしく、とても楽しみにしていた。宣伝の仕方で結果炎上したけど、そんなことは作品の良し悪しには関係なく自分は素晴らしいコンテンツだったと思うし、人々に死を意識させる本当に素晴らしい表現、なんなら自分がやりたいこととかなり近くこんな伝え方もあるのかと感動した。
本作はその原作をまとめて映像化したものが半分、後日談が半分という感じ。前半部分に関しては原作を知ってないとちょっと内容が薄いと思われてしまうかもしれない雰囲気はあったものの謎の静かさや落ち着いた感じはすごく良かった。後半、オリジナルキャラのカエルくんが出てきて、ウザキャラだけど暗い過去があり、それを通じ、ワニの友達と仲良くなっていくというもの。カエルくんのぶっちぎりのウザさ、世の中うまく生きていけなそうな苦しさ、ウザさが変わったわけではないけどなんとなく馴染んでいく過程、キャラクターとして嫌いというわけではなく世の中の苦しさやもどかしさの象徴として見てて苦しかった。あとはワニ好きな気持ちからカエルがいまいち入ってこなかった。そういう意味ではなんというか心からは楽しめなかったかもしれない。亀田誠治さんのBGMあえてだとは思うけど妙にチープな感じでよかったけど違和感もあった。
あとは本当にどうでもいいことだけど、ふと100日間生きたワニというタイトル少し笑ってしまった。生後3ヶ月かよ、と思ってしまうとじわじわきてしまった。ワニが生きた100日間ではあるが100日間生きたワニではないのではと思ってしまった。