kazki//okadaの備忘録

kazki//okadaの個人的な見解やレビューなどを垂れ流します。

漫画

「かみまち」今日マチ子

上下巻。心に傷を抱えた家出少女の物語。 少なめの線で独特の浮遊感がある絵柄の今日マチ子さんの作品。 自分が今まで読んできた作品と比べてダークで余裕のない感じ。 これまでの作品は行間が広いというか解釈の余地があるというか軽くて深いような、そう言…

「え!?絵が下手なのに漫画家に」施川ユウキ

全1巻。オンノジや鬱ごはんの施川ユウキ先生のエッセイ漫画(?)。 描くことないなー的な編集さんとのやり取りから始まる本作であるが全体を通してその雰囲気は漂っている。それだけ聞くと印象が悪いかもしれないけど、その雰囲気がいいゆるさを生み出すと同…

「先生白書」味野くにお

全1巻。幽☆遊☆白書やHUNTER×HUNTERの冨樫先生のアシスタントだった味野くにおさんのエッセイ漫画。 冨樫先生のアシスタント時代のエピソードが淡々と語られる少し不思議な雰囲気の作品。 冨樫先生の人の良さや味野さんの感覚などがリアルに感じられる作品。…

「シメジシミュレーション」つくみず

全5巻。ものすごい名作。つくみず先生の少女終末旅行の次の作品。 少女終末旅行が大名作(一番好きな作品といっても過言ではない)だったので、期待せずゆるーい気持ちで読み始めた。 序盤の方は、少し不思議な雰囲気の世界の日常を描いた作品という印象。会話…

「神のちから」さくらももこ

ちびまる子ちゃんで有名なさくらももこさんの作品。アイディアの原石のような短編集。荒削り感がつよいがそれがいい味を出している。コジコジとつげ義春の短編集を混ぜたような雰囲気。ある程度、時代を超えて面白いと思えるものは多少ネジが外れたような雰…

「ど根性ガエルの娘」大月悠祐子

全7巻(6,7はデジタルのみ)。ど根性ガエルの作者吉沢やすみさんの娘、大月市祐子さんのエッセイコミック。破天荒な漫画家の父とそれに振り回される家族の物語、と最初の方は重さがありつつもハートウォーミングな部分もある感動のエッセイコミックという感じ…

「かくかくしかじか」東村アキコ

全5巻。漫画家東村アキコさんの自伝的作品。東村さんと絵の先生を中心に話が展開する。エッセイコミックとして非常に素晴らしい作品。クリエイターとしてだけではなく人間として学びや共感がある作品。結局のところ自分で経験しないとわからないものがほとん…

「神様お願い」小骨トモ

全1巻。心を締めつける短編集。絵柄は違うけど雰囲気としては史群アル仙さんと向いてる方向が同じかもしれない。割と良い話が多かったけど史群さんと比して個人的に掴まれるものは少なかった。本当に絵柄も悪くないし話も悪くないのにそこまで琴線に触れずと…

「ふたりエスケープ」田口囁一

全4巻。ロックバンドのボーカルであり漫画家である田口囁一さんの作品。 百合姫コミックスから出版されていて、なんとなく名前から百合もののエロ漫画か?と思う方もいるかもしれないけどそうではない。所謂百合要素はなくはないけど、ほんのり香る程度でそ…

「ルックバック」藤本タツキ

チェンソーマンで有名な不明な藤本タツキさんの短編。漫画についての短編作品。少しSF要素がある。青春物語と銘打ってあるが、キラキラした青春物語ではないし恋愛的なものも全くないのでそういうのが嫌いな人でも読める。すごい作品だ、とか、名作だ、とい…

「膵臓がこわれたら、少し生きやすくなりました。」永田カビ

永田カビさんのエッセイ漫画。予約して発売と同時に購入、すぐ読んだのだけどレビューブログをずっとやってなかったので今になりました。永田カビさんのエッセイ作品は血が通っており胸に迫るものがあるのでずっと追っている。今作も今までの作品と同じ系譜…

「ちくちくぴろんぴろん」せきの

シュールギャグ4コマ漫画家せきのさんの新作。新作と言ってもこれまで描いてきたものを集めた作品だった気がする。相変わらずのテイスト。ふふっとつい笑ってしまうくだらなさの極地。くだらなさも突き抜けるとものすごい強度を持つ作品になる。流行したポプ…

「ファウスト」手塚治虫

全一巻。手塚治虫さんのファウスト。ファウストの原作は途中まで読んだけど雰囲気は原作より手塚治虫カラーが強い感じ。原作はなんだか読みづらく感じた。ブッダやその他手塚治虫作品に比べてあっさりした印象。ファウストともう一編作品が収録されているの…

「ちひろ」安田弘之

上下巻。紺野さんで遊ぼうの安田弘之さんの作品。何にもとらわれない飄々とした生き方の風俗嬢ちひろの物語。背景はあるが泰然自若なちひろの立ち振る舞いが非常に勉強になる作品。修行僧とは遠いところにある職業のように思えるがこのキャラクターは浄土真…

「魚社会」panpanya

panpanyaさんの短編集。いつも通りかわいくて浮遊感があってすごくいい。のほほんとすると同時に世俗から離れたような気分になれるのがいい。相対性理論のようなつげ義春。これまでの作品と大きな相違はない。ふわっと読んでふわっと癒されてちょっとした浮…

「先輩、ソレひとくちください」水あさと

全2巻。阿波連さんははかれない、デンキ街の本屋さんなどの水あさと先生の作品。めちゃくちゃ貧乏な先輩と少し変わった女の子のラブコメ、というより完全にギャグ漫画。尖りすぎずベタすぎずちょうどいいギャグ具合。かわいい絵柄で表情などで女の子の魅力を…

「夜さんぽ」木村いこ

全一巻。体調を崩した作者の夜の散歩を描いたエッセイ。不安障害を抱える作者の目に映る夜の街の美しさが素晴らしい。デフォルメ強めのかわいい絵柄と鉛筆の柔らかなタッチのマッチングもいい。自分が不安障害で苦しんでいた時に見た風景と重なるものがあっ…

「死んで生き返りましたれぽ」村上竹尾

追い詰められた末、不摂生がたたり一度心肺停止するも一命を取り留めた作者の自伝的エッセイ漫画。 内容は極めて重いが希望の光に溢れている。自分がが考える真の希望に近い形。一度闇を知った故に見える微かな光は明るい日差しの中の光とは比べ物にならない…

「ペリリュー」武田一義

全11巻。太平洋戦争ペリリュー島の戦いについて描いた作品。絵柄はとてもかわいいが内容はしっかりとした戦争漫画。ギャップがあるからより凄まじさが出てるのか、この絵柄だから何とか読めるのか。登場人物がよく死ぬ作品は近年多くあるけどキャラクターの…

「NEW GAME」得能正太郎

全13巻。発売当時に家人がジャケ買いしたのがきっかけで知った作品。 表紙を見て絵はかわいいけど中身スカスカの萌え作品なんだろうなと思っていた。しかし全然違った。全然違うというのもまた違うかもしれない。魔法少女まどかマギカのように実は陰鬱な作品…

「東京怪奇酒」清野とおる

エッセイ漫画家清野とおる氏の飲酒ホラーエッセイ漫画。心霊スポット的なところにいき飲酒するという作品。 恐怖から解放された安堵感で街がキラキラして見える感覚、共感する。 それぞれの会議話も飲むお酒もなんだか庶民的ですごくいい。そして、真似した…

「風の谷のナウシカ」宮崎駿

全7巻。ジブリの映画として有名だけどコミック版は内容が違う。生命について、社会について、人間について、非常に深みのある考えを与えてくれる。世界の浄化について。存在のあり方について。生命や生活より優先すべき崇高なものについて。こんなに有名な人…

「ランド」山下和美

全11巻。しっかりとしたSF作品。設定もストーリーも非常に面白かった。何度も予想を覆される展開。こんな感じの話かな?と思ったら、ああ、こういう感じか、と思い、え、そういうのか!と裏切られる感じ。非常に素晴らしい。キャラクターも魅力的で人間をし…

「政宗様と景綱くん」重野なおき

全4巻。信長の忍びで有名な重野なおきさんの日本史ギャグ四コマ。ギャグといっていいのか。基本トーンはギャグ漫画なのだけど史実に基づいたシリアスな展開も多々みられる。日本史の教科書を読むよりも感情移入できる素晴らしい作品。 本作は東北の雄、伊達…

「ツバキ」押切蓮介

全3巻。日本のホラー、ギャグ、ゲーム漫画家押切蓮介さんの作品。変な紹介をしてしまったけど上記のものを混ぜた作品ではなく押切蓮介さんがホラーもの、ギャグもの、ゲームもの、エッセイものなど幅広く描いている。最近の作品はクレイジーギャグという雰囲…

「平成生まれ」ハトポポコ

シュールギャグ四コマ漫画。ボケ、ツッコミの二人と小ツッコミ、大ボケの二人と大ボケ、大ボケ(ツッコミなし)の二人の三組を中心に話が進む日常系。わかりやすくシュールギャグで心地よい。キャラ描写も癖がありすぎずなさすぎずで心地よい。すっと体に入っ…

「迷走戦士・永田カビ」永田カビ

知って以来、追っている漫画家永田カビさんの新作。新作といっても何ヶ月か前の作品ですが。年齢ってあんま関係ないけど同い年と知ると、自分も頑張ろう、という気持ちになれる。いや、永田カビさんの場合、なんだかそういう気持ちになれる。状況や環境が似…

「みなクズwith男子校系男子」ハトポポコ

ハトポポコさんの作品。全一巻。みなクズというクズい女子高生の日常漫画と冴えない男子校生の日常漫画が合わさってる。少女終末旅行のつくみずさんに近い可愛くてシンプルな絵柄。内容がすごくいい。シンプルなパンクのような清々しさ。久しぶりにいい作家…

「酔うと化け物になる父がつらい」菊池真理子

随分前に買ったエッセイ漫画。引っ越しの際に出てきて再度読み直し。作者の人生を描いた作品。アルコールによって周囲の人々を破滅に追い込む物語と思えるがそれだけではない。問題の根底はさらに深いところにあると感じさせる。人の弱さ、無責任さ、そして…

「モテないのではないモテたくないのだ!!」カラスヤサトシ

エッセイ漫画家カラスヤサトシさんの半フィクションの作品。冴えない男子中学生の恋愛観についての作品。混沌とした恋愛の喧騒から一歩引いた生き方をしようとしつつ抗いきれず飲み込まれている教室における下層階級男子の思考をカラスヤサトシさんのテイス…