kazki//okadaの備忘録

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「Night in the woods」Finji

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主人公である猫のメイを操作し、セリフや行動、行く場所などを選択することで物語が展開していくゲーム。これまでやったゲームの中で一番物語が凄かったかも。ギンギンに尖りまくったセリフの数々、リアリティのある人間の心に巣食う絶望の描写、ぶっ壊れそうな感覚の追体験、衝撃のストーリー展開、どれをとっても一番尖ってる。かわいいキャラクターと相容れないヤバすぎる内容。哲学的でありパンク的であり文学的である。サウスパークアメリカ感と町田康の描く世界とホットファズのような衝撃展開と村上春樹を尖らせたセリフ回しをごちゃ混ぜにしてグサグサ刺さりやすい形にして表面だけめちゃくちゃ可愛くした感じ。ルートによって内容が変わったりするみたいだし何回もやってみたくなる。が、人生の重みみたいなのがすごいので体力は使う。壮絶な過去を持ちながらも冷静に世界を見つめる心優しいアンガス、ぶっ壊れつつも愛情と友情を溢れさせているグレッグ、口は悪いけど真面目で責任感に溢れていつも隣にいてくれる唯一無二の親友ビー(これはビーと行動することを私が選択しまくった上に感情移入しまくりなキャラクターだったからかも)など魅力的なキャラクターばかり。死体を掘り起こしたり、千切れた腕が落ちてたり、犯罪で遊んだりとイベントもぶっ飛んでいる。悪夢のシーンはダークアンビエントシューゲイザーみたいなドリーミーでアーティスティックな描写が冴えまくり。死について、社会について、友情について、世間について、宇宙や生命、いろいろな深みのある思想を感じることができる。ミニゲームや雑談、イベントも豊富な素晴らしい作品。重すぎる映画を見たような気持ちでエンドロールを迎えることができる。百聞は一見にしかず、インディーゲームで価格も高くないので本当におすすめ。人生のヒントがつまってる。高校生くらいからほとんどゲームやらなくなってたけどこの作品に会えたことも含め、やってみて本当によかった。心の中にいる主要キャラを目覚めさせることで自分も意味なんてない可能性が高い悍ましくも虚しすぎる世の中をぶっ壊しながら、楽しみながら、苦しみながら、存分に味わって生きていきたいと思いました。