kazki//okadaの備忘録

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「死んで生き返りましたれぽ」村上竹尾

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追い詰められた末、不摂生がたたり一度心肺停止するも一命を取り留めた作者の自伝的エッセイ漫画。

内容は極めて重いが希望の光に溢れている。自分がが考える真の希望に近い形。一度闇を知った故に見える微かな光は明るい日差しの中の光とは比べ物にならないくらい尊さを実感できる。そういう希望を追体験できるというか、そういう作品。主人公が目で描かれるスタイルをとることで主観的な体験のような印象になっている。

自分は命の危機に瀕するほどではないが精神疾患で正常な判断力を失い全てが絶望的で何からも逃げられないと考えていた時に見えた光と重なる。こちら側から重ね合わせているだけかもしれないが普通のことが本当に輝いてみえる。木漏れ日や満開の桜、春の風、全てが尊いものとして感じられたあの感覚がこの作品によって呼び覚まされるようだった。

そういう類の経験があるからそう感じたのかもしれないが、この作品はそういう希望を教えてくれる重要な作品だと思う。村上竹尾さんの血と骨と心で作られた作品。このような素晴らしい作品こそより多くの人に届いてほしいと思う。けどお涙頂戴の安い実写化映画みたいになってしまうのだけはないことをいのりたい。