kazki//okadaの備忘録

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「劇場版ポケットモンスター ココ」矢嶋哲生

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ポケットモンスターのアニメ映画。割と最近の作品。これは今の子供ではなくポケモンアニメを見て育った30代をターゲットに作られた作品のように思える。作品の主題であろう親子、社会、他者との関わりなどが非常にわかりやすい形でて提示されている。わかりやすくグッとくるこさせる感じ。個人的には好きだけど本当に芸術寄りのものが好きな人には押し付けがましく感じられらるかも。自分はわかりやすく何が言いたいかを描いている作品が好きだし、自分も表現をする際、手法に関しては偶然性を大事にしているが、意図に関してはわかりやすく解釈の幅を狭めるやり方をとっている。しかし純粋に芸術としての価値を高めるには個人的には(また一般論としてもこういう意見は多い)解釈の余地があるほうが深みは増すもののように思える。本作はそういう意味ではキャラクターの台詞に言いたいことをわかりやすくのせる形の所謂わかりやすい表現になっているように思える。実際どうかはわからない。しかし、そう誤解されてもおかしくないような部分はあると思う。

ここでいうわかりやすさは最近よくある安心して泣けるような、感動ポルノ的な薄い作品と同じものではないということはわかってほしい。メッセージの内容も嫌いじゃないし表現の仕方もきらいじゃないし、作品も楽しめた。ただ解釈の余地や考えさせられる要素、余白や空白が控えめのように感じられたという点においてわかりやすかった。

深みという部分においては、問いかけや作者自身が何が言いたいのかわからないけど奥から滲み出てくる何かとかそういうものから生じるような気がする。その点、この作品はちゃんと制作側のコントロール内にありそうな、言いたいことがちゃんとあってそれをある程度綺麗な形で提示できているような気がする。

個人的にそれは素晴らしいことだし、自分もそれをやりたいと思う。ただ深み、芸術、そういったものに近づきたいのなら、コントロールの外に出たもの、内角低めを丁寧に攻めるピッチングではなく全力で投げるナックルボールのようなやり方こそ必要なのではないかと自分にはそう思える。

深み、芸術性が必要なものかどうかはわからないが。(個人的には好きだけど)

いろいろ書いたけど最近見たポケモン映画数作品の中では一番楽しかったかも。

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