kazki//okadaの備忘録

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「史上最強の哲学入門」飲茶

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格闘少年漫画バキの成分を取り入れて書かれた哲学の入門書。YouTube岡田斗司夫さんがすすめていたので購入し読んでみた。

確かにこれまで読んだいくつかの哲学入門書と大きく異なるものであった。書いてある内容や深さなどが異なるわけではなく入門書としてごく普通の内容かもしれない。しかし書き方が大きく異なる。まず西洋哲学史に沿った進み方でないというのも大きく異なる。真理、国家、宗教、存在とテーマを大きく分け、そのテーマ毎に何人かの哲学者を紹介していくという形である。そのテーマの中で思想の流れに沿って哲学者を紹介していくので非常にわかりやすい。そして哲学者のキャラ立てをしっかりするというのが本書の大きな特徴としてあげられる。簡単なプロフィールに得意技という項目を添えて、格闘漫画の必殺技のように思想を一言で表すような用語を置いている。例えばデカルトだったら得意技「方法的懐疑」、ヘーゲルだったら得意技「弁証法」とかラノベの必殺技のようにその哲学者に関係する用語を組み込んでいる。ここが著者がバキから学んだ部分である。哲学者=キャラの特徴と必殺技=思想を意識させることでまるで漫画のキャラを覚えるような感覚で哲学者の思想や哲学史の流れを学ぶことができるのである。漫画を読むようにするする読めるのも魅力の一つ。内容も手を広げすぎずポイントポイント抑える形で読みやすい。どの本でもなかなかわかりづらい現象学などの話もかなりわかりやすくまとめられている。深いところまで潜っていく感じはないけど入門書として哲学に興味をもつには本当にいい著作だと思われる。強いて言えば取り上げる哲学者がもっと多ければなと思ったが既にかなり厚みのある文庫本になっているのでこれ以上ボリュームを増やしたら薄めの辞典くらいになってしまうかもしれない。時間が経っていろいろ忘れ始めてる部分も再確認できて個人的にも読んでよかったなと思える作品だった。