kazki//okadaの備忘録

kazki//okadaの個人的な見解やレビューなどを垂れ流します。

「魔女見習いを探して」馬越嘉彦

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女児向けアニメおジャ魔女どれみ20周年を記念して作られたアニメ作品。元は女児向けのアニメシリーズですがこちらは20年前女児だった人向けの作品。30歳前後のOLがターゲットだと思われる。三人の主人公のそれぞれの辛い日々、旅行の楽しさ、人との関わり、一歩踏み出す勇気(起業とか笑)など、今なかなか抜け出せないパッとしない現状を生きる女性の皆様を勇気づけるような作品。メッセージ性とターゲット層があからさますぎる節はあるかもしれないけど30代前後のおじさんでも普通に楽しめる作品だった。女性じゃなくてもパッとしない現状を生きる20代、30代には刺さる部分はあると思う。10代にはあまりマッチングしないと思う。フリーターとか就活生だったら別かもですが。それもわからないけど。自分が独立目指し始める前のサラリーマン時代だったらかなり刺さったかも。自分これでええんかな?という人に見てほしい作品。おジャ魔女どれみじゃなくても自分が子供の時好きだった作品に置き換えてみたらよりグッとくるかも。

「先輩、ソレひとくちください」水あさと

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全2巻。阿波連さんははかれない、デンキ街の本屋さんなどの水あさと先生の作品。めちゃくちゃ貧乏な先輩と少し変わった女の子のラブコメ、というより完全にギャグ漫画。尖りすぎずベタすぎずちょうどいいギャグ具合。かわいい絵柄で表情などで女の子の魅力を表現することに関しては右に出る者がいないのでは?と思うくらい変態的な表現力。とてもアホらしいのだけどすごくいい。エクストリームな節約術もいい。深く何かに突き刺さるわけではないけどじわじわと良さを感じることのできる良作です。

「古風Ⅱ」冥丁

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日本のエレクトロニカアンビエント系のアーティスト冥丁さんの音源。相変わらずすごくいい。基本的には前作古風と大きな変化はない。湿っぽい日本らしさとスタイリッシュさが混じり合っている。古風同様、以前の作品より湿度は低め。祭のような雰囲気も垣間見える。リリースのたびにすごくいいなと感心する。2作続いたせいか次回作はどろっとした方向性の冥丁さんの音源もまた聴きたいなという気持ちも少しあるが新譜がとにかく楽しみ。日本らしさというか日本のいいところをしっかり活かした音楽をやりたいなと思った。見習いたい。

古風 Ⅱ

古風 Ⅱ

  • 冥丁
  • エレクトロニック
  • ¥1528

「Live At 55Bar」Ben Monder,Tony Malaby,Tom Rainey

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ニューヨークのジャズギタリストBen Monderら三名によるトリオセッション音源。ギター、サックス、ドラムという変則トリオ。コンテンポラリージャズというかフリージャズというかもはやエクスペリメンタルに近いかもと言いたくなるぐらい尖った音源。めちゃくちゃかっこいい。音も内容もとにかくかっこいい。サックスが旋律の中心にいるためかいつも以上に実験的なベンモンダーのギターがまたさらにかっこいい。一番攻めたベンモンダーのギターが聴けるかもしれません。サックス、ドラムともにめちゃくちゃかっこいい。これが即興演奏なのかと思うと恐ろしい。逆に作り上げられた楽曲だとしても恐ろしいのだけど。ベースレスだけどギターがシンセ的な役割も担っているし、サックスも広い範囲カバーしてるのでスカスカな感じは全然しない。ベースがいない方がいいとは思わないけど不在が気になる感じは全くない。ギターを弾くものとしてはやはりギターのすごさにどうしても目がいってしまう。耳か。いや、ドラムもすごいのだけど。ノリがあるのに自由で、自由が何か問われればかなり難しいのだけど、知らず知らずルールに縛られてる感じがない。きっとルールを感じさせない複雑なルールがあるのだろうけど。サックスもすごい。音の運びや音色がかっこいいのはもちろん、人の叫びのような、本当に音に有機的なエネルギーが感じられる。ケモノが喚いているような。このように個々のすごさも光るのだけどそれがちゃんと一つのものになっているのもたまらない。こんなかっこいいセッション音源はほんとになかなか無いと思う。割とスタジオ音源を選んで聴いていたけどこれからは幅広く聴いていきたい。

Live At the 55 Bar (Live at the 55 Bar, New York City, 3/3/2020) [Live]

Live At the 55 Bar (Live at the 55 Bar, New York City, 3/3/2020) [Live]

  • Ben Monder, Tony Malaby & Tom Rainey
  • ジャズ
  • ¥1528

「史上最強の哲学入門」飲茶

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格闘少年漫画バキの成分を取り入れて書かれた哲学の入門書。YouTube岡田斗司夫さんがすすめていたので購入し読んでみた。

確かにこれまで読んだいくつかの哲学入門書と大きく異なるものであった。書いてある内容や深さなどが異なるわけではなく入門書としてごく普通の内容かもしれない。しかし書き方が大きく異なる。まず西洋哲学史に沿った進み方でないというのも大きく異なる。真理、国家、宗教、存在とテーマを大きく分け、そのテーマ毎に何人かの哲学者を紹介していくという形である。そのテーマの中で思想の流れに沿って哲学者を紹介していくので非常にわかりやすい。そして哲学者のキャラ立てをしっかりするというのが本書の大きな特徴としてあげられる。簡単なプロフィールに得意技という項目を添えて、格闘漫画の必殺技のように思想を一言で表すような用語を置いている。例えばデカルトだったら得意技「方法的懐疑」、ヘーゲルだったら得意技「弁証法」とかラノベの必殺技のようにその哲学者に関係する用語を組み込んでいる。ここが著者がバキから学んだ部分である。哲学者=キャラの特徴と必殺技=思想を意識させることでまるで漫画のキャラを覚えるような感覚で哲学者の思想や哲学史の流れを学ぶことができるのである。漫画を読むようにするする読めるのも魅力の一つ。内容も手を広げすぎずポイントポイント抑える形で読みやすい。どの本でもなかなかわかりづらい現象学などの話もかなりわかりやすくまとめられている。深いところまで潜っていく感じはないけど入門書として哲学に興味をもつには本当にいい著作だと思われる。強いて言えば取り上げる哲学者がもっと多ければなと思ったが既にかなり厚みのある文庫本になっているのでこれ以上ボリュームを増やしたら薄めの辞典くらいになってしまうかもしれない。時間が経っていろいろ忘れ始めてる部分も再確認できて個人的にも読んでよかったなと思える作品だった。

「Ender Lilies」Binary Haze Interactive

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ダークファンタジーメトロヴァニアのアクションゲーム。ゴリゴリのダークファンタジー。崩壊した世界で謎を解き穢れを浄化すべく少女が黒衣の騎士と共に旅をする。ボスや中ボスの穢者というゾンビ的な存在を倒し浄化するとそのものの力を得ることができる。ボリュームもあり難易度も割と高く世界観も素晴らしい作品だった。クラシックをベースとした音楽もとてもよかった。ボス戦で敢えてバイオリンソロやピアノの静かな曲を選ぶセンスが本作に触れた中で一番印象に残った。とても素晴らしい。修道服で大槌を振り回す羽根の生えた女性の穢者(ゾンビ的なやつ)のキャラクターがとてもよかったけど、文字で見てみると設定盛りすぎではないかと笑えてくる。鉄球を振り回す妹もいたけどそちらは特に強い印象を受けなかった。強いて物足りなかった部分をあげるとすればストレートにダークファンタジーな部分かもしれない。よくもわるくもわかりやすいと言える。設定やキャラクター、舞台や物語、とても好みで申し分ないのだけど、意外性に欠ける部分と少し照れくさく感じられる部分があった。この感じめちゃくちゃ好きだけど、"この感じ"すぎるというか、隙がなさすぎるというか。強いて言えばなので不満ではないのだけど想像を超える何かはなかったかもしれない。トータルで不満はないけど逆に不満がないのが少し不満かもしれない。この作品に触れて、ディストピア的な世界、ダークなかわいいもの、穢れた聖なるもの、キモかわいい化け物など改めて自分の好きなものを再認識できた。穢れ、浄化、禁じられた領域、実験、記憶、巫女、死の雨、厨二心をくすぐる言葉の数々。守り人シルヴァ、隠れ潜む実験体、腐竜の孤児など妙にかわいい、かどうかわからないけどなんだかかわいいと感じるキャラクター群もよかった。

 

ENDER LILIES

ENDER LILIES

  • Binary Haze Interactive & Mili
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「夜さんぽ」木村いこ

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全一巻。体調を崩した作者の夜の散歩を描いたエッセイ。不安障害を抱える作者の目に映る夜の街の美しさが素晴らしい。デフォルメ強めのかわいい絵柄と鉛筆の柔らかなタッチのマッチングもいい。自分が不安障害で苦しんでいた時に見た風景と重なるものがあった。闇の深さや暗さがもたらすワクワク感の描写もよかった。人によってはキャラクターの共依存感が苦手と感じるかも。個人的には話の内容も表現の仕方もすごく好みの作品でした。