kazki//okadaの備忘録

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「膵臓がこわれたら、少し生きやすくなりました。」永田カビ

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永田カビさんのエッセイ漫画。予約して発売と同時に購入、すぐ読んだのだけどレビューブログをずっとやってなかったので今になりました。永田カビさんのエッセイ作品は血が通っており胸に迫るものがあるのでずっと追っている。今作も今までの作品と同じ系譜の作品です。もしかしたら永田作品すべてが一つの作品なのかもしれないです。

本作は永田さんの膵炎再発の時の話。これまでより更に深いところに潜る感じがあるけどこれまでの作品以上に光を感じる。希望がある、とか、状況がよくなる、という意味ではないけど、光をすごく感じる。状況は全然違うのだけど、永田さんの光の描写にすごくリアリティというか共感というかそういうものがあった。鬱病で苦しんでいた時、冬が特に辛かった。もうよくならないと本気で信じていたし、もうずっとこんな感じで生きていかなきゃいけないんだなと思っていた。こんな感じで生きていかなきゃいけないんだという前向きな感じではなく、もうきっと全部無理なんだという諦めきれない諦めというかなんとも表現できないのだけど根拠のない絶望感にとりつかれていた。そんな時、春が来て暖かくなって桜が咲いていて、その木漏れ日というか光がよくわからないけど涙が出るほどの、よくなるとかではないけど暖かくて光に溢れていて、生きるのも悪くないと思えるそんな感覚になった。その時の光は元気になった今、逆に見ることができなくなったのだけどものすごい光だった。ほんとに輝いて見えるというか光に温度も感じるというかとにかくすごい光だった。永田さんが朝にお父さんと話している時の光の描写はきっとあの光に似た光を描いているのかもしれないと思った。あの一コマを見た時、あの光を一瞬鮮明に思い出して涙が出た。同じではないにしろ、きっとあの光が永田さんの世界にもあったんだなと思った。どんな心境でどんな理由でどんな感覚で描いているかは想像の域をでないし、本当のところは何もわからないけど、この作品がすごく心に沁みるし、この作品を描いてくれた永田カビさんに本当に感謝の気持ちをもっている。感情が先走って文体や表現がごたごたになってしまい申し訳ないです。自分が出したいのは、状況に差はあれ苦しんでいる人に本作をおすすめしたい、ということ。今苦しんでない人にも、人からみたら自業自得に見えるかもしれないけど必死に頑張っている人がいるということを見てほしいし、苦しむことがこれからあっても状況はどうあれ前に進むことができるというのをみてほしいというという意味でも本作をおすすめしたいということ。いや、単純にこの作品素晴らしいからみて!というただそれだけかもしれません。よくわからなくなってきたので本当におすすめなのでぜひ読んでみてほしいということをいえば良いかもしれません。締めの部分で永田さんがひとりじゃないんです、とおっしゃっていたのを多くの人に伝えたいとほんとうに思いました。

余談ではありますが、自分も作品を作る人間としてベクトルは違えど同じくらいの血の通った作品を生み出したいと強く思いますし、そのために精進していきたいと強く思いました。年齢や世代は関係ないのだけど同じ歳となるとなんだか、こんな頑張ってる人が、こんなすごい人がいるのだから自分も頑張らなきゃと何故か思えてきます。自分のペースを乱さないように注意しながら最終的にいいものを自分自身のためにも作っていきたい、自分自身のためにもというか誰にも求められてない可能性もあるので特に自分自身のためにしっかり作っていきたいと思いました。

長文乱文失礼いたしました。

 

https://www.amazon.co.jp/膵臓がこわれたら、少し生きやすくなりました%E3%80%82-永田-カビ/dp/4781621503/ref=nodl_