日本のノイズ・アンビエントアーティストTia Rungrayの音源。リリース時に聴いていたがレビューブログが止まっていたので今更ながらレビュー。
これまでのTia Rungray作品同様、重厚で闇を感じさせる作品。ピアノが中心にはあるが、これまでの作品よりそれ以外の音の存在感が強い。サウンドがとてもかっこいい。質感としてはアイスランドのアンビエントアーティストBen Frostあたりの音の質感を彷彿とさせる。Ben Frostが冷たい森のような闇だとしたら、本作は鎮守の森のような闇。日本風な音ではないし、トライバルな感じとは全然違うのだけど何となく日本的な死生観のようなものを感じさせる。理由は全くわからないがなんとなくそう感じた。もしかしたらジャケットの彼岸花がそう思わせるのかもしれない。闇といってもおどろおどろしい感じではなく静かで暗い感じ。陰鬱とした印象ではなく物理的に暗いイメージ。それが重厚な雰囲気を出しているのかもしれない。リリースするたびに違った姿を見せてくれるけどTia Rungrayとしての統一はずっと保っているのが素晴らしい。同じような音源すぎても飽きるし、イメージと違いすぎても聴きたいのと違うなとなる可能性あるし。本作は暗いところでゆっくり飲酒などでもしながら聴くのがおすすめ。真っ暗にした風呂でもいいかもしれない。寝る時に聴くには少し強いし、昼に聴くより夜に聴く方が良さそう。暗いところでゆっくり音に沈んでいくような聴き方が合っているように思える。今回も実に素晴らしい音源である。
