kazki//okadaの備忘録

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「先生白書」味野くにお

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全1巻。幽☆遊☆白書HUNTER×HUNTERの冨樫先生のアシスタントだった味野くにおさんのエッセイ漫画。

 

冨樫先生のアシスタント時代のエピソードが淡々と語られる少し不思議な雰囲気の作品。

 

冨樫先生の人の良さや味野さんの感覚などがリアルに感じられる作品。これだけをいうと事細かに描かれているのかなと思うが決してそうではない。逆に冨樫先生の細かい心の動きや実際のキャラクターは正直ほとんど見えてこない。しかしきっとそれがリアルなのだろうと感じられる。第一人称で語られるもの以外は実は作品性や脚色がなくてもこうである。そのよくわからなさ、憶測の域を出ないと雰囲気がリアルに出ている。また味野さんの冨樫先生への感謝の雰囲気もすごくリアルに感じられる。キャラっぽさが少ないというか、よく掴めないままだったけど、人が良くて、理解しきれていない感謝があるような雰囲気に感じられる。そこがかえってこの作品の独自性を出している。

味野さんや編集さんがこのような作戦だったり、いろいろな忖度があったり、大人の力が働いている可能性は否定できない。それはどの作品もそうである。しかし、ドラマチックすぎないし、特別なエピソードがないあたりが妙にリアルに感じられるのである。

これまでいろいろなエッセイ漫画を読んできたけど、本作はニュータイプであり非常に興味深い。ぱっと食べた時に印象は薄いけど実はものすごい深みがある和食のような何かを感じる作品だった。