上下巻。心に傷を抱えた家出少女の物語。
少なめの線で独特の浮遊感がある絵柄の今日マチ子さんの作品。
自分が今まで読んできた作品と比べてダークで余裕のない感じ。
これまでの作品は行間が広いというか解釈の余地があるというか軽くて深いような、そう言う印象があった。
それと比較して本作はテーマが大きく影響していると思うが重めで余裕のない感じ。
あとがきにて制作にあたりインタビューを行ったことや制作していてつらかったことなどが語られていた。
意図的か意図せずかわからないけど、それが作品自体の余裕のなさにつながっているのかもしれない。
個人的な好みでは今日マチ子さんの作品においてはこれまでの透明感があるけどぼやけているような作品の方が好みかもしれない。
重くてつらめの作品はとても好きだけど今回に関しては少し不一致感を感じてしまったのかもしれない。
もしかしたら自分が今日マチ子さんに対して持っている軽やかな印象のせいで、重く描写しているものもなんとなく重さにリアルを感じなかったのかも。そのせいで作品をコントロールできていないように感じてしまったのかもしれない。
このような不当な評価や印象を持たれるかもしれないけど表現者の皆さんには自分の型に縛られずいろいろやってほしいなと思う。
自分の可能性を自分で狭めてもいけないし、意図を超えたところにこそ何か見出せるものがあると思う。
自分もあまり意識しすぎず主軸だけは保ちつつその時の最善を尽くしていきたいと思った。