デンマークのギタリストJakob Broの音源。基本的にはジャズなのですがアンビエントのような、静かなエレクトロニカのような、そんな雰囲気がある素晴らしい音源。他の楽器も素晴らしいのだけど何より浮遊感の強いギターが最高。たまに不穏な感じの音を入れてくるのも素晴らしい。ビル・フリゼールの音源と少し似てるかもと思っていたら、音源に参加してました。どちらがヤコブでどちらがビルなのかいまいちわかってない。この好きな音はヤコブの音なのかビルの音なのか。とにかくこの音源は素晴らしい。もしかしたらben monder以来の気になるギタリストかもしれません。引き続き聴いてみます。
「This World of Dew」Aaron Shragge & Ben Monder
ニューヨークのジャズギタリストBen Monderとトランペットや尺八を演奏しているAaron Shraggeのデュオ音源。Aaron Shraggeさんが日本語での情報が見つからないのでどんな方はあまりよくわからないけど、素晴らしい管楽器演奏者だということはわかる気がします。
Ben Monderのギターは相変わらず素晴らしい。ですが、今回はバッキング多めなので主役という感じではないかも。管楽器と二人だとそうなりますよね。このAaron Shraggeさん、すごくかっこいい音を出します。尺八なのかな、かっこいい。管楽器とギター、なかなかいいなと思いました。ピアノとギターもそうだけど意外とギターは二人組み合うんだなと思いました。すごくいい音源だったのにちゃんとレビューできないのが残念。管楽器の音使いや音運びも気をつけて聴くと改めて面白いかも。
「よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話」いしいさや
前回記事の作品と近いものになってしまいますが、こちらもエホバの証人二世のいしいさやさんの半生を描いた作品。
こちらの作品は子供の頃からずっとエホバ二世として育ち、そこから離れるまで、そして、離れた直後の印象を描いたもの。こちらもやはり、信仰の押し付けの問題や抜けた後の罪悪感による苦しみを描いている。最後のシーンの絶望の中にある清々しさは胸にグッとくる。宗教に限らず、人生にはこのような部分が多々あると思う。
あとがきで念願の山暮らしをしながら漫画を描き幸せに暮らしているとあったので、そこが一番の救いであり希望。
「カルト宗教信じてました」たもさん
親がエホバの証人に入り子供の頃からエホバの証人として生きてきた方のエッセイ漫画。子供の頃、親がエホバの証人に入ってから、本人がエホバの証人の信仰を捨てるまでの人生を描いた作品。
エホバの証人二世でエホバの証人を抜けるまでを描いた、いしいさやさんの作品と形は近い。
エホバの証人である時、勧誘や集会におけるつらいこと、暴力を伴う躾など、苦しみのポイントに共通点があり、そういう部分はあるのだなと余計に思えた。
また、抜けてからの通常の生活に伴う罪悪感による苦しみなども共通しているなと感じた。
宗教や価値観などを押し付けることの問題点を強く感じた。また宗教は本当に強い力を持っているというのも改めて感じた。それによって救われる人も多いのは事実ではあるが死ぬことや生きる上での苦しみから目を背けるだけになってしまっては良くないのではないかとも思った。
本作は最終的に、生きることそのものの理由なき肯定、にたどり着いているように思われる。それは素晴らしいことではあるが、それに対する盲信も宗教のもつ思考停止させる力に近いものになってしまうと思うので、やはり考え続けなくてはいけないのかなとも思った。
「Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow」渡邊政治
人気アニメ作品リゼロの劇場版。TVシリーズは、狂気や絶望の描写が秀逸で内容もかなり面白い作品であった。登場人物もわざとらしい部分も多いが魅力的で、いわゆる異世界ものが流行っている中、頭ひとつ抜けた作品であると自分は感じていた。
本作はそのスピンオフのような内容の作品であり本編とは全く関係がないストーリー。そして個人的な評価ポイントであった狂気や絶望の描写もなく、割とありがちなキャラクターがかわいい異世界ものといった印象。キャラクターが特別に好きであれば十分楽しめるとは思うが、そこ以外の部分はあまり面白いとは思えなかった。TVシリーズがとても面白かっただけに個人的には少し残念だった。TVシリーズで続編がやるようなのでそちらに期待したい、という上から目線すみません。楽しみにしております。
Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow 通常版 ( イベントチケット優先販売申込券 ) [DVD]
- 出版社/メーカー: KADOKAWA メディアファクトリー
- 発売日: 2019/06/07
- メディア: DVD
「川口由一 自然農」川口由一
川口由一さんの自然農の概要と作業についての本。
第一章は、川口さんの
・耕さない
・農薬、肥料を持ち込まない
・草や虫を敵にしない
の自然農三原則についての説明があり、その次に川口さんが開いた農業塾についてとよくある質問に答えるという内容がくる。
第二章においては、自然農で使う鋸鎌、鍬、スコップという3つの道具について、畝作りや種蒔についての説明がある。
第三章で各作物の具体的な作業手順を説明する。
第四章では、川口さんが今の農法に至った経緯が書かれている。
全ての章が興味深いものであったが個人的に一番感銘を受けたのは第四章である。死をしっかり見つめること、直観的な嫌悪感から目を背けないこと、周囲の常識に飲み込まれないこと、自分の意見を押し付けないと同時に自分の信念を曲げないこと、これらの大事さを改めて感じることができた。文に書いてあることからしかわからないが、川口さんがたどってきた道は過酷であり簡単に真似できるものではないがある種の希望を与えてくれる。
この本を読んで、川口由一さんに対する興味が深まった。そして、メソッドを学ぶのではなく、生き方を学ぶべきだと感じた。先人が辿った道をなぞるだけでは前へは進めない。先人が辿った道を知ったうえで自分で道を作っていかなくてはいけないと思った。
すぐれた先人の思考や思想を知ることで、自分も自分の道を作っていきたい。